柏崎市にある松雲山荘という庭園のアカマツ伐採の協力要請をいただきました。
松雲山荘の庭園は、新潟県内の紅葉の名所の一つとして知られており、
見頃の時期には団体旅行客が訪れる場所にもなっています。
また、園内には木村茶道美術館が併設されており、お茶を飲みながら庭園を見ることができます。

園内樹木の樹勢回復作業の一環として、ここ数年様々な取り組みをされており、
2020年は園内の日照改善や、危険木、老木の除伐を目的に、主にアカマツの伐採が行われました。
アカマツの樹高は20m以上、長さ5mを超すような大枝もあります。
樹木の下にはモミジが広がっており、四阿、灯籠、橋、池など様々な構造物も点在しています。
そのため、モミジや構造物を守りながら、慎重に伐採作業を実施しました。

初日は、園内で最も大きなアカマツ(白い札が付いている樹木)に取り掛かりました。
周りのモミジが邪魔をして全体の樹冠を見ることはできず、
唯一、根元付近の隙間から覗き見ることができます。
切った枝や丸太は、すべてこの隙間におろすことに決めました。

まずは、周りのモミジをロープで引っ張り、できるだけ枝や丸太を下ろす隙間を広げます。
次に、アカマツに登るのですが、下枝までは高さがあるため長いハシゴを準備しても登れません。
そこで、スローラインと呼ばれる道具を使用します。
太さ数mmの紐に重りを付けて、振り子の力を利用して太い枝に紐(スローライン)を掛けます。
その後、スローラインの端にメインロープを結び、太い枝にロープを掛け直します。
このメインロープに体重をあずけてアカマツに登っていきます。

樹上に登り、次に枝下ろし用のロープやチェンソーを樹上に上げます。
これで、いよいよ枝葉を切り下ろす準備ができました。
枝葉だけでも重量が大きいので細かく切り分けたり、
また「リフト」と呼ばれる方法で枝を上へ引き上げて、
切り離し時の衝撃やロープの消耗をできるだけ小さくする対策をとっていきます。

所々に枝の足場を作りながら、順次、枝を切り下ろしました。
樹上から真下を眺めると、一面モミジで覆われおり、地面が全く見えません・・・。

およそ一日半かけて枝をすべて切り落としました。
このあとは、幹の断幹に取り掛かります。

頂部から5mほど降りてくると、小型のチェンソーでは歯が立たない太さになってきました。
写真に写っている一回り大きいチェンソーは、チェンソーバーの長さが45cmほどです。
幹の太さもだいたい同じくらいありますね。
降りるほど太くなるので、幹の周りをグルグル回りながら切込みを入れて、断幹していきます。

周囲のモミジと同じくらいの高さまで切り落としてきました。
残りあとわずかです!!

周囲の樹木に干渉しない高さになったら、根元から一気に伐倒します。
最後に切り株を低い位置で切り直し、これで完了です。

無事に終わりましたが、実はこのアカマツのテッペンには、スズメバチの巣がありました・・・。
大きくない作りかけの巣であり、枝葉に紛れて下から見ただけでは事前に発見するのは困難でした。
今回は、刺される前に駆除処理ができましたが、夏から秋にかけてはハチに注意が必要です。
初日にこのような注意喚起ができてよかったです。