ツツジ類の剪定は花後早めに行いましょう!
ツツジが満開を迎え、既に花が散り始めているところがあります。
このあとはサツキが咲き、まだまだ花を長く見ることができますね。
新潟では、花が終わり、夏から秋にかけて、他の庭木と一緒に剪定をされる方が多いと思いますが、
ツツジ類に関していえば、花後直後の5月下旬から6月中が剪定適期
になります。
ツツジ類は来年の花になる蕾、いわゆる「花芽」の形成時期が早いため、
夏以降に刈り込み剪定を行うと、既に作られた多くの花芽を切ってしまい、
来年見られる花数が少なくなる可能性があります。
そのため、来年の花を多く見たい場合は、
花が散り始めたらすぐに、遅くとも6月中に行うことをおすすめします。
また、ツツジ類は萌芽力が強いため、強剪定を行っても、このあと枝葉が十分に出てきますので、
剪定の練習を行う良い教材にもなります。
そこで今回は、ツツジ類の「透かし剪定」の方法をご紹介したいと思います。
「ツツジは刈り込むのが普通でしょ。透かし剪定なんてする必要あるの?」
という声があるので、まずは「刈り込み剪定」のメリット、デメリットをお伝えします。
【刈り込み剪定のメリット】
- 玉づくりのように丸く、また生垣のように四角くく剪定するのが比較的簡単にできる。
- 剪定した表面に枝葉が増えるため、隙間のない面を作ることができる。
- 一度に切れる枝葉の量が多いため、短時間で剪定が終わる。
【刈り込み剪定のデメリット】
- 同じ位置で剪定を繰り返すと、枝葉が群生し固くなるため、小さく作り直すことが難しい。
- 剪定した表面の枝葉が密になるため、内部に光が入らず枝葉が枯れやすい。
- 内部の風通しが悪くなるため、病気になりやすい。
刈り込み剪定は、簡単に、素早く、剪定をすることができますが、
コブのように固くなった枝葉が表面に増えるため、同じ大きさ、形を維持するのが難しくなり、
結果的に年々少しずつ大きくなってしまいます。
また、思いきって小さく作り直そうとしても、内部に光や風が届いていないため、
内部の枝葉が枯れこみ、小さく置き換える枝葉がほとんどない状態になります。
庭の敷地は限られているため、庭木を大きくし続けることはできません。
刈り込み剪定だけでは、小さくしたくても簡単にできない状況になってしまうので、
庭木を維持するためには「透かし剪定」が必要になってきます。
「透かし剪定」については様々な書籍で紹介されていますが、
刈り込み剪定されたツツジ類の透かし剪定を行うには、最初にひと手間加える必要があります。
それは、
縦横無尽に絡み合った枝を正しく分離させる
ことです。
刈り込み剪定されていると表面の枝葉が密に絡み合ってみるため、
内部に手を入れるのも容易ではありません。
そのような状況で、表面の一部分だけを見て絡み合っている枝を選別し剪定していると、
「うっかり大事な枝を切ってしまった」、「変な形の枝を残してしまった」ということに
後で気が付くことがあります。そして、時間と手間が余計にかかってしまいます。
そのため、まずは絡み合った枝を丁寧にかき分けて、枝が素直な位置になるように
正しく分離します。
次に、隣り合う枝に強引に寄りかかるような枝や極端に飛び出ているような枝を特定します。
そして、特定した枝を株の根元から切れば、あとの作業が格段に楽になります。
以下が、ツツジ類の透かし剪定の手順になります。
(手順1, 2, 3がひと手間、手順4以降が一般的な透かし剪定です)。
【ツツジ透かし剪定手順】
- 絡み合った枝を丁寧にかき分けて、枝が素直な位置になるように正しく分離する。
- 不要な大枝を特定する。
- 特定した大枝を株の根元から切る。
- 絡み合う枝を選別し、不要と思われる枝を枝の分かれ目で切る。
- 残った枝の中でコブのように群生している枝先を透かし剪定する(枝数を減らし細い枝を残す)。
- 全体の形を整える。
下の写真は透かし剪定前の状態です。
ツツジの内部に光が通らないくらい枝葉が密集しているため、根元は暗い状態です。
そして、下の写真が透かし剪定後に状態になります。
太陽の光の加減もありますが、反対側の景色がうっすら見えるくらい透けており、
枝の形も見えます。
透かし剪定をすることで内部に光が入るため、枝の途中から新たな芽が元気に出てきます。
来年はその新しい枝に切り替えることで、全体の大きさを小さく仕立て直すことができます。
また、大きな空間が空いてしまうなどの理由で、今回切ることができなかった不要な大枝も、
来年以降に新しい枝に切り替えたりすれば、いずれ切ることができます。
さらに、やわらかな細い枝が全体を覆うため、今後の刈り込み剪定も楽にできるようになります。
この機会にぜひチャレンジしてみてください!