樹木からのメッセージを読み取って、未然に危険を防ごう!

ここ数年、新潟には雪がほとんど積もりませんでしたが、
今年はドカ雪がいきなり降りました!!
ラニーニャ現象が起きると厳冬になるというのは、やはり当たっているようですね。
そうなると、今年の雪はまだまだ続きそうです・・・。

みなさん、庭木の冬囲いは既にお済ですか?
縄で縛ったり、支柱を使って庭木を雪から守りますが、背の高い樹はどうしてますか?
3mくらいならまだ冬囲いできますが、5m、7m、・・・となったら、
縄で縛るのはとても大変です。
「もう十分大きくてしっかりしているから大丈夫!!」と思って、
そのまま何もしないで放っておいているのではないでしょうか?

もちろん無理して縄で縛る必要はありませんし、
十分しっかりした樹であればほとんど対策は必要ありません。
ただし、雪の重さによる枝折れや落枝の可能性があるかもしれないと
気にかけておく必要はあると思います。

今回の12月の雪では数多くの枝折れが起きていますし、実は長岡で倒木も発生しています。

下の写真は、枝の上に雪が積もった時の枝のしなり方の比較です。
幹元の枝の太さは直径10cmほどありました。
見た目ではほんの少し雪が乗っただけでも、枝が大きく垂れ下がっていることがわかります。

幸い、雪が滑り落ちてこの枝が折れることはありませんでしたが、
残念ながら、反対方向に伸びていた枝は雪の重さで折れてしまいました。
折れた枝は他の枝よりも成長が良く、一本だけ飛び出ていたので、
「少し短く切った方が良いかもな」と思っていたところの出来事でした。

しっかりした大きな樹だとしても、少し気にかけて見ることで、
何かしら違和感というか、樹からのメッセージのようなものに気が付くことがあります。
このことについては、のちほどまた詳しく説明します。

では、高い樹の雪対策はどうしたら良いのでしょうか?

最も簡単なのは、重なり合い混みあった枝を幹元から取り除く”枝下ろし”です。

剪定をしている庭木では、自然の樹と違って樹形を意図的に作ったものがほとんどです。
剪定を続けている間は特に問題ありませんが、
管理をやめてしまうと途端に枝葉が大暴れしてしまい、混みあった樹形になってしまいます。
そして、風通しも悪くなるため、知らず知らずのうちに病気に罹っていたり、
枝や幹に枯れや腐朽が入っていることがあります。
その結果、今回のような大雪の場合には庭木の上に雪が積もりすぎて、
枝折れや、最悪の場合、倒れてしまうことがあります。

”枝下ろし”は、積雪を防ぐだけでなく、一年を通して樹木を健康に保つための
日照改善や風通しの改善(病害虫予防)に繋がります




さて、今回のタイトルにある「樹木からのメッセージ」ですが、
上述の枝下ろしの説明の中にも既にいくつも「メッセージ」が隠れています。

例えば、「枝葉が大暴れ」、「病気」、「枯れ」、「腐朽」がメッセージです。

これらは庭木によくあるメッセージで、
 ①「枝葉が大暴れ」
   →剪定で葉を切り過ぎていたため、本来あるべき枝葉量を取り戻そうとしている。
 ②「病気」
   →樹木内部の風通しが悪く、病原菌が残留しやすい。樹が弱り始めている。
 ③「枯れ」
   →日当たりが悪くて十分な栄養が作れない。葉を切りすぎて栄養が作れない。
 ④「腐朽」
   →腐朽菌(キノコ)の侵入を防げないくらい樹が弱っている。
を意味しています。

これらのメッセージを見てあげることで、剪定の方法を変えてみたり、
また、その方法が正しかったのか、もっと変えた方が良いのか、樹が教えてくれます。

先ほどは、樹の部分的なメッセージを紹介しましたが、
続いては、「樹形:樹の全体の形」のメッセージを読み取ってもらいたいと思います。

先日の大雪で倒木が発生していたと言いましたが、下の写真がその倒木です。

道路から一段上がった斜面に生えていたアカマツです。
根っこからひっくり返ってしまっています。

以下が少し引いて撮った倒木直後の全体の写真です。
ちょっとした違和感、樹からのメッセージを読み取ってみてください。

『枝葉はたくさんあって元気そうだし、幹が折れるほど弱っている様子も無いなぁ。
根っこが小さいかなと思うけど、倒れた衝撃でおそらく千切れただけだろう。
湿った雪だったし、この樹がたまたま運悪く倒れただけかな。他の樹は大丈夫そうだ。』

現場の近くで見ていた人々の心の声を代弁してみました。
みんな口々に「なんでだろう?」と話していました。

今回の大雪に関わらず、この樹は遅かれ早かれ倒れる運命にあったと思います。
もちろん雪や風、地震などが倒れる引き金になりますが、、、。


さて、この樹のメッセージですが、
樹形をみると枝葉がすべて下敷きになり、上に立ち上がっている枝葉がありません!!
普通のほとんどの樹は360度全体に枝葉が伸びていますが、
この樹は道路側の180度側しか枝葉が伸びていないのです。

立っているときは、お店ののぼり旗みたいな形をしていたのでしょう。
こんな形をしていれば、ただでさえバランスが悪い上に、
道路側の片側だけに雪が積もり、さらにアンバランスになります。
成長して樹高が高くなれば、ひっくり返ろうとする力はさらに大きくなるので、
仮に今回倒れていなくても、この先いつかは倒れていたと予測できます。

では、山側の枝葉はなぜ無くなってしまったのでしょうか?

これはアカマツの生育の特徴と深く関係しています。

アカマツは、樹木の中では「先駆樹種(パイオニアツリー)」と呼ばれる陽樹です。
これは、草地のような場所に真っ先に芽を出して成長を始めます。
そして、成長には太陽の光を多く必要とするため、周りの樹が大きくなる前に、
我先にと樹高を高く伸ばそうとする、スタートダッシュ型です。

今回の山を見るとアカマツが多く生えていたので、元々アカマツ林だったと思われます。

その後、山が開拓されて道路の整備が行われました。
周りの樹々が伐採され、環境が変わると新たな樹木も生えてきます。

今回の場所は北側の斜面のため、斜面の上ほど太陽の光が良く当たります。
そのため、斜面上の樹は益々大きくなり、斜面下の樹はさらに日陰になります。
結果的に、道路の反対側に向かって伸びていたアカマツの枝は光が当たらなくなり、
徐々に枯れ上がっていきます。

そして、今回の大雪によって道路側に残った枝だけに雪が積もり、
重さに耐えられずに根元からひっくり返ったと思われます。

ぜひ、庭木を観察して、それぞれの庭木のメッセージを読み取って見てください。
庭木を健全に保ち、枝折れ等の危険を未然に防ぐことができますよ。


最後に、下の写真の樹のメッセージを読み取って見てください。
今年初めに発生した倒木とその周りの樹の写真です。(ヒントは根っこです)